056 とにかく一ヵ月半、何らかの滞在制作をします!(仮) 会田誠

いかにすれば 世界で最も偉大な 芸術家になれるか 会田 誠


一 同じことは-いや似ていることさえ、二度と繰り返すな。天才芸術家にには毎秒毎秒記憶喪失を繰り返すくらいの、精神の鮮度が必要だ。


二 自分の過去がどうだっていいように、人類の過去だってどうだっていい。天才芸術家にとって過去の奴らなんて、みんな取るに足らない下手っぴばかりだ。


三 芸術家にスケジュールや納期という概念はない。


四 英語を喋るなんて凡庸なことを平気でできる時点で、自分の才能を疑ったほうがいい。どうしても母国語以外を喋るという暇つぶしがしたいなら、古代シュメール語とか犬語とか、面白いのにしておけ。


五 パスポートは要らない。海の向こうからの客は、気が向けば迎えてやってもいいが、自分が客になることはありえない。


六 指から伝わって魂が腐るから、金には触るな。というか、そういうものが腐ったこの世にあることを。最初から知るな。


七 大物な権力者やコレクターやキュレーターやギャラリストや批評家に会ったらすぐに忘れろ。そして次に会ったら「は?どなたさん?」と言え。というか、理由もなく突然、殴ってみてもいい。


八 向精神作用のある有害物質を含む、あらゆる嗜好品を常時摂取し続けろ。それを肝臓で濾過するのも馬鹿馬鹿しい話だから、あらかじめそんな無用な臓器は摘出しておけ。


九 大恋愛と決闘は、定期的にやるとよい。


十 仕事するな。何も作るな。