残り物には福がある

瀬戸内国際芸術祭2010 作品番号17

 

クレア・ヒーリー&ショーン・コーデイロ

 

古い廃屋に 古い家具 この残り物に福がある。

 

 

瀬戸内海のオーストラリア物語
http://setouchi.australia.or.jp/

 

 

「一つ得た情報は、島民の平均年齢が65歳だということ。これはかなり高齢! でもなんと私達が豊島に到着した最初の夜に出会ったのは、甲生集落で17年ぶりに誕生したぽっちゃりしたかわいい赤ちゃん、彩翔くんでした。フェリーから島に上陸したとき、彩翔くんとご両親が、ちょうど港のあたりをドライブしていたのです。彼のご両親はとても優しく、その時彩翔くんが着ていたゆかたのようなかっこいいはっぴを、1週間後に私達の息子にも2つもプレゼントしてくれました。--------------------------------------

私達は作品を制作する過程で多くの方々にお会いしました。作品の素材として集落の皆さんから譲って頂いた家具を使いました。また仕上げには多数の小さな木箱が必要でしたので、こえびの智子さんに手伝ってもらい、集落を一軒一軒、箱をもらうために回りました。初めは救世軍のボランティアになったような気分でしたが、このおかげで、興味深い集落の方々のお話をお伺いすることができました。一人の方からは、かつて島を離れ、奥さんが出て行ってしまい、そしてまた島に戻ったというかなり告白的な話も聞きました。ただ、木箱集めの話になると、ほとんどの人から「おふろを沸かすのに燃やしてしまったよ」という返事が返ってきました。その時は自分達の作品を完成させるには、「炎が怖くて、お風呂が嫌いな人を探すしかない」と思いました。それでも皆さん「探しておくよ」と言って下さり、驚くなかれ、数日するとお米や神戸牛が入っていた木箱や美しい古いお弁当箱が私達の家の戸口に届けられ始めました。

こうして甲生集落の協力のおかげで、ついに私達の作品が完成しました。そして豊島の面白い人たちに出会うこともできたのです。

」クレア・ヒーリー&ショーン・コーデイロ